豪雪と原発ホワイトアウト

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今回は高橋さんに「豪雪と原発ホワイトアウト」という題でお話ししていただきます。

今回、特に関東甲信地方ではこれまでに無いような大雪に見舞われ、甚大な被害がありました。今回は普段予想もしないような降雪量だったわけですが、実は夏の時点で、日本各地に「何十年に一度」というような大雨や洪水があったわけです。今後同じような事、それ以上の事が起こりうる、ということを前提に防災を考えていくべきだといえるでしょう。

今回の大雪では、山梨県全体の交通が麻痺し、クルマは立ち往生、主要道路も通行止めになりました。山梨に限らず、多くの地域が孤立化し、移動も物流も止まりました。これはつまり、食糧を積んだトラックも、ガソリンや灯油を運ぶタンクローリーも止まっているということです。実際、スーパーやコンビニの食品棚は空になり、ガソリンスタンドも底をついているようです。現代社会は交通物流に大きく依存している社会ですので、スーパーなどの小売も在庫をあまり置きませんし、我々も遠くの仕事場までクルマで通勤しています。ですから、こういった雪が降りますと、あっという間に社会麻痺が起きてしまいます。

今回の大雪では、移動できないだけでなく、停電になった地域も多数発生しました。残念ながらオルドバイ仮説を引き合いに出して警告していたとおりになったわけです。今回の停電は、別に発電所が停止したわけではありません。雪の重みで送電線が切れるなど、送電麻痺で起こった停電です。ですから、原発を再稼働しようが再稼働しまいが、これからこのようなタイプの停電は頻発するでしょう。つまり、気候変動対策としては、個人での発電や蓄電、熱源の確保といった、自立分散エネルギーが重要であるということです。もしこのような大雪の時に原子力発電所の過酷事故が起こったらどうなるでしょう。大雪で道路も鉄道も麻痺しているわけです。飛行機も飛びません。避難することもできませんし、事故対応のための技術者も警察も消防も入れません。放射性物質が大量に拡散しても、逃げることも対応することもできないのです。

大雪+過酷事故というリスクが高い原発はどこでしょうか。泊原発、東通原発、女川原発、そして福島第一第二原発、それぞれリスクはありますが、一番恐いのは柏崎刈羽原発でしょう。まず、第一に越後長岡という雪国であること、第二に中越沖地震を経験しており、施設インフラにダメージを受けていること、第三に東京電力の発電所であることです。なぜ、東京電力の発電所であることがリスクなのかと申しますと、福島原発事故の前の東電と、今の東電とで、どっちが技術者や作業員が枯渇していますか?どっちが資金が不足して、保守メンテにお金を掛けられなくなっていますか?どっちが無理してでも稼働させようとしますか?こういう事を考えますと、原発事故の前の東電よりも、今の東電の方が事故対応能力が低いのではないか?と懸念させられる訳です。

さらに、第四のリスクとして地震リスクがあります。新潟は以前からたびたび巨大地震に見舞われてきたところです。しかも、佐渡島で今年3匹目のダイオウイカが水揚げされたり、松江では「見つかると地震が起きる」と言われるサケガシラが穫れたり、秋田や富山でもリュウグウノツカイが生きたまま捕獲されたり、なんかいやぁ~な予感がします。大雪が降って柏崎原発周辺および関東甲信越の広い範囲で交通が麻痺しているところに、巨大地震が発生、それによって柏崎原発から大量の放射性物質が拡散。おりからの強い北風に乗って首都圏にも放射性物質が流れ込む。人々は逃げることもできず、専門技術者も作業員も現場に向かうことができない。なんてことが起こらないとは言えないのです。

images1.jpgそれと似たようなことを予見するかのように書かれているのが、現役官僚が書いたと言われるフィクション「原発ホワイトアウト」です。この「原発ホワイトアウト」には、今回いち早く除雪チームを派遣した新潟の泉田知事をモデルにしたような人物が登場しますが、この本の中の知事は贈収賄の疑いをかけられ逮捕され、失脚させられてしまいます。最後は送電鉄塔が倒壊し、原発は電源を喪失してメルトダウンを起こす、という物語です。今回の大雪だけでも交通・物流が止まり、食べ物やガソリン・灯油が枯渇する事態にまでなりました。これに巨大地震や火山の噴火や原発の過酷事故が重ならない保障はないのです。

今回のことから言えるのは、気候変動にともない、これまで予想していなかったような災害が発生するようになった。現代社会は物流の麻痺にとても脆い。送電麻痺と交通麻痺が同時に起こりうる。なので、せめて原発の再稼働は止めといて、いざというときの電気や熱を確保するための自立分散型エネルギーを準備するべきだろうということです。


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