バベル

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コミティア89が無事に終了し、新潟に帰るための高速バスを、東京駅の丸の内南口で待っていた時です、若い男二人が「スミマセン」と私に声をかけてきました。しかし一言「スミマセン」と言ったきり何も喋りません。どうしたのかな?と思っていると何やら紙を渡してきました。受け取った紙を見ると高速バス乗り場の集合場所が書かれています、どうやらこの二人の男は私に道を尋ねているようです。

紙には東京駅の八重洲中央口がラインマーカーで線が引いてあります、恐らく二人はそこへ行きたいのでしょう。「ここは丸の内南口です、八重洲中央口じゃないですよ」と言ってみましたが、二人とも黙ったままです。おかしいな?と思っていると片方の男が携帯電話で連絡を取り始めました。日本語ではありません、どうやら韓国人のようです、日本人にそっくりですね。はぐれた友達と連絡をとっているのでしょうか?よく見みるとすごく不安そうな顔をしています。言葉も文字も違う日本へ旅行に来て、道に迷ってしまったのでしょう。

なんとかしてあげようと思いましたが、新潟県民の私は八重洲中央口を知らず、しかも言葉が通じない相手にどうやって説明すれば良いのでしょうか?まるでバベルです。「とりあえず付いて来て下さい」と言い、手招きをして二人を駅の方へ誘導します。駅の近くには周辺の地図があるハズです。何も言わなくても二人は赤信号で止まってくれるし、右側通行もしてくれるので日本の交通ルールは理解しているみたいです。ちょうど良く地図を見つけ八重洲中央口の場所を確認したので、日本語+身振り手振りで説明をしてみました。

「今いる場所がここ、この場所。ここは丸の内南口、丸の内南口。これが東京駅、実物があれ。東京駅のあっち側が八重洲中央口、ね?あっち側が八重洲中央口。わかります?その紙に書いてあるでしょ?これこれ、八重洲中央口って。ね?ほらここ、八重洲中央口。ここは丸の内南口。これが東京駅。東京駅のあっち側が八重洲中央口。八重洲中央口はあっち、東京駅のあっち、あっち、あっち。」

地図を指差しながら身振り手振りで現在の場所、周りの建物、目的地を説明してみると、どうやら理解してくれたようです。二人はペコリと頭を下げて、何やらゴニョゴニョ言って東京駅に向かって歩きだしました。お礼を言っているみたいです。「大丈夫ですか?頑張って下さい」と声をかけると、もう一度ペコリと頭を下げて行きました。伝わるものなんですね、感動です。日本語しか喋っていないのにコミュニケーションがとれていて、自分でもビックリしました。

道案内を終えた後に、英会話ができれば通じたかも?と思いましたが、まぁ結果オーライです。むしろ言葉が通じなかったからこそ、地図のある場所まで連れて行こうと閃いたのかもしれません。言語もコミュニケーションの一つの手段でしかありませんから、それが通じない時には他の手段で補えばいいみたいですね。今回は理解してもらえて嬉しかったです。平成の「ええじゃないか」に参加することで、非日常な出会いと体験ができました。

関川 拝

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